プロフィール

水田尊久

Author:水田尊久
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2000年渡韓、2012年末までサムスンに勤務、約四半世紀のエンジニア生活の後、2013年に韓国で法人を設立し独立。技術コンサルティングを中心に、韓国進出支援、市場調査など、韓国を中心に活動しています。

<韓国:生命科学>睡眠中の脳波調節で、記憶力を2倍以上向上させる手がかりが明らかに

韓国の研究チームが、睡眠中出る脳波を調整することで、記憶力を2倍以上向上させることへの手掛かりを明らかにしました。


基礎科学研究院(IBS)認知及び社会性研究団のシン・フイソプ団長の研究チームが、睡眠中にだけ現れる3種類の脳波が、同時に発生し同調状態になると、学習した内容の長期記憶力が強化されること発見しました。

一部の研究者は、睡眠を助ける睡眠紡錘(ぼうすい)波(sleep spindle)と呼ばれる脳波が記憶形成に関与する可能性を示唆してきましたが、睡眠紡錘波と長期記憶との間の正確な因果関係は明らかになっていませんでした。

研究チームは、睡眠紡錘波のほかに、大脳皮質の徐波(Slow oscillation)と海馬のSWR波(Sharp Wave Ripples)が学習と記憶に関与する脳波として知られていることに着目しました。

研究チームは、この3つの脳波が相互に作用するものと判断し、光を受けるとナトリウムイオンチャネルを開くチャンネルロドプシンをマウスの間脳視床神経細胞に発現させました。これには、マウスの頭に挿した光ケーブルを介して、光で睡眠紡錘波の発生を誘導する光遺伝学的方法を利用しました。

この方法を用い、研究チームはマウスに、特定の空間で、30秒間、特定の音を聞かせ、最後の2秒間に電気ショックを与えました。このような方法で、マウスに電気ショックに対する恐怖記憶を植えつけました。

以後マウスが眠っている間にAマウスには、大脳皮質の徐波発生時期に合わせて光遺伝学刺激によって睡眠紡錘波を誘導。Bマウスは徐波発生時期にかかわらず、睡眠紡錘波を誘導。Cマウスには睡眠紡錘波を誘導しませんでした。

24時間経過後、3種類のマウスを2つの状況に置きました。一日前の恐怖を感じた同じ空間に音がない状況(空間1)と、前日とは全く別の空間で音が聞こえる状況(空間2)です。

空間は、環境・脈略的情報です。一方、特定の音は、電気ショックと直結した聴覚的刺激です。

脳の海馬は、様々な環境的要素を記憶することができる長期記憶を管理します。同じ空間に戻ってきたマウスが恐怖を表す行動を見せるのは、この場所で痛みを感じたという記憶を、海馬を介して処理した事を意味します。

一方、全く別の空間なのに、特定の音が聞こえる状況で、緊張し動きが止まってしまう行動を見せるのは、海馬ではなく感覚的刺激を通じた記憶を意味します。

このような条件の下、空間1に置かれた3種類のマウスを観察したところ、Aマウスが恐怖を表す行動を長時間表し、他のマウスよりも恐怖の記憶を2倍近く保持していた結果が得られました。

一方空間2に置かれたA、B、Cマウスには恐怖記憶を表す行動に差がありませんでした。空間2が海馬に依存して記憶を引き出せる状況であることを考慮すると、大脳皮質の徐波発生時期に合わせて、光によって睡眠紡錘波を誘導した刺激が、海馬の長期記憶を強化したことを示唆していると推察できます。

研究チームは、3種類の脳波の分布を分析した結果、大脳皮質の徐波が現れる時期に合わせて睡眠紡錘波を誘導すると、海馬のSWR波が誘導され、最終的に、この3つの脳波が同時に発生して同調するという事実を明らかにしました。

今回の研究成果は「Neuron」2017年7月6日号に掲載されました。
(出所:韓国・アジア経済、2017年7月7日付け内容)
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