<韓国:医療>細胞の中で発光する「酸化鉄光熱剤」の開発
高麗(コリョ)大学のキム・ヨングン教授の研究チームは、細胞の中でも蛍光を発し、光熱治療の治療位置をリアルタイムで確認できる酸化鉄光熱剤を開発しました。
光熱治療は、がん細胞にナノ粒子を送り込んだ後、近赤外線レーザーを当てたときに発生する熱を利用して、がん細胞を壊死させる治療方法で、外科的治療など従来のがん治療方法とは異なり、脱毛や吐き気などの副作用が少なく、新たな治療技術として注目されています。
研究チームは、近赤外波長のレーザーを照射し、酸化鉄ナノ粒子の光熱効果(*1)を誘導しました。
この時に発生する熱が、ナノ粒子の周りにある高分子の炭素鎖構造を変形して、π共役構造(*2)を有する新たな共役高分子構造(*3)を形成させることで強い蛍光を発し、ナノ粒子を細胞に吸収させ光熱効果を誘導した場合でも蛍光が現れました。また、ナノ粒子のサイズが大きく、濃度が高いほど、蛍光が強くなることが確認されました。。
今回の研究成果は「Small」2017年7月27日号に掲載されました。
(*1)光熱効果:物質に吸収された光エネルギーで、蛍光や燐光として再放出される以外のエネルギーが熱に変換される効果のこと。
(*2)π共役構造:共役系高分子のπ電子雲が分子鎖全体に広がっている構造。
(*3)共役高分子構造:二重結合と単結合とが交互に連なっている高分子。
(出所:韓国・ニュース1、2017年8月15日付け内容)
(参考:「光熱電気科学検出法の基本的動作特性」石川健哉、星野務,光学 33,1(2004) 45-51)
(参考:筑波大学大学院数理物質科学研究科 物性・分子工学先行 ホームページ内資料)
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