<韓国:薬品>疾病の原因となる膜タンパク質の構造が明らかに
蔚山(ウルサン)科学技術院(UNIST)自然科学部のイ・ヒョンウ教授とソウル大学基礎科学研究院(IBS)RNA研究団のキム・ジョンソ教授の研究チームは、細胞の中のミトコンドリアの膜タンパク質に特定の化学物質を付着させ、構造を把握できる新技術を開発した事を明らかにしました。
研究チームは、この技術を用いて、ミトコンドリア内膜にある135のタンパク質の構造を確認しました。
膜タンパク質は、細胞膜に付着しているタンパク質で、細胞内に栄養分や信号を伝達する重要な役割をします。この機能が壊れると病気になることがあり、新薬開発では、膜タンパク質を理解するのが重要な課題になっています。
研究チームは、生きた細胞の中のミトコンドリア内膜の蛋白質に、環状の化合物・フェノール(phenol)の一種「デスチオビオチン‐フェノール(Desthiobiotin‐phenol)」を付着させ、質量分析装置で分析する事によって、膜タンパク質の構造を把握したと説明しています。
酸化剤の一種で細胞のどの部分でも活性化できる過酸化酵素・アスコルビン酸オキシダーゼ(APEX)とフェノールが反応すると、フェノールラジカル(phenol radical)になりますが、これはタンパク質を構成する重要な成分でアミノ酸の一種・チロシン(tyrosin)基によく結合します。
この性質を利用し、研究チームは、質量分析装置でフェノールラジカルが結合したチロシン基を分析し、膜タンパク質が、どの方向に出っぱっているのか、その方向を調べることによってタンパク質の構造を調査しました。
イ・ヒョンウ教授は「ミトコンドリアの膜タンパク質複合体の構造を理解することは、ミトコンドリアを狙った新たな治療法を開発するために非常に重要」とし、「フェノール化合物を用いて、膜タンパク質の構造を把握する新たな技術は、他の膜タンパク質を標的とする新薬開発に役立つ」と述べています。
今回の研究成果は「JACS」に掲載されました。
(出所:韓国・聯合ニュース、2017年4月10日付け内容)
(参考:wikipedia)
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