<韓国:医療>幹細胞生存率向技術の開発
韓国研究財団は、中央大学のホン・ジンギ教授と慶熙(キョンヒ)大学のイ・ウンア教授の共同研究チームが、間葉系幹細胞が長時間生存できるように、幹細胞にナノ薄膜を被せ、幹細胞治療の効果を高める技術を開発した事を明らかにしました。
間葉系幹細胞は、骨髄や臍帯血(さいたいけつ)から採取する幹細胞の一つで、脳卒中・心血管疾患・炎症性疾患・敗血症などの治療に使われます。
幹細胞治療は、幹細胞を血管内に注入する方法が用いられていますが、幹細胞のほとんどが標的細胞まで行けず死滅するため、血管内への幹細胞の注入を複数回行うことになります。
研究チームは、幹細胞の表面にナノメートル(10億分の1メートル)オーダーの厚さの薄膜をコーティングすることにより、血液中での幹細胞の安定性を維持し、長時間生き残ることを可能にしました。
研究チームは、天然物質の「L-リジン」と「ヒアルロン酸」、また、がん細胞が増殖する際に生じる物質にのみ特異的に付着するタンパク質「RGDペプチド」などを利用して薄い膜を作りました。
続いて、高分子ベースのナノフィルムを製作する方式となる「交互積層法(Layer-by-Layer self-assembly)」を用いて幹細胞の外側にナノオーダーの厚さでコーティングする事に成功しました。
このようにした幹細胞は、人の静脈と同様に作られた実験環境で、何の処理もしていない幹細胞に比べて生存率が、24時間が過ぎた段階で31.6倍、48時間が経過した段階では28.5倍高いことが分かりました。
今回の研究成果は「Chemistry of Materials」2017年3月14日号に掲載されました。
(出所:韓国・ファイナンシャルニュース、2017年3月19日付け内容)
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