<韓国:医療>少数派免疫細胞が多数派免疫細胞より優位にある理由が明らかに
基礎科学研究院(IBS)免疫微生物共生研究団と米国ラ・ホヤ免疫アレルギー研究所の研究チームは、少数派の免疫細胞「自然リンパ球」(ILCs)が、体内で多数を占める免疫細胞「T細胞」との競争で優位にあることを解明しました。
自然(先天)免疫反応に関与する自然リンパ球は、寄生虫、腸粘膜内感染などの初期防御、アレルギー、抗がん免疫反応などの役割を果たしています。がん細胞を攻撃するナチュラルキラー細胞(NK細胞)などがこれに該当します。
T細胞は、主に後天免疫(感染症やワクチン接種などにより、生後に得た免疫)を担当し、ウィルスなどに感染した細胞を処理する役割を果たしています。
これら2種類の細胞は、ともにリンパ球に分類されますが、T細胞がリンパ球の絶対多数を占めています。
自然リンパ球は、T細胞に比べてはるかに少数ですが、免疫細胞の発達を助けるタンパク質である「インターロイキン-7」(IL-7)をT細胞より効率的に消費することが分かりました。
免疫細胞は、IL-7と結合しなければなら生存・増殖することができません。
自然リンパ球は、IL-7受容体の発現能力がT細胞よりも最大80%ほど優れいるため、IL-7との結合量を調節することによって、T細胞が結合できるIL-7を制限し、T細胞の増殖に影響を与えることが分かりました。
研究チームは、IL-7受容体を欠乏させたマウスと正常なマウスにT細胞を注入すると、受容体が欠乏したマウスでのみT細胞が増殖する事を確認しました。
通常のマウスは、T細胞が注入されても、自然リンパ球がIL-7受容体を調節し、注入されたT細胞の量を制限しますが、受容体が欠乏したマウスの免疫細胞はIL-7と結合しないため、外部から注入されたT細胞のみ増えた事になります。
IBS免疫微生物共生研究団のCharles Surh団長は「免疫細胞間のIL-7受容体の発現の差は、転写因子(*1)のシグナル伝達(*2)の差から始まったものと見られる」とし、「今後、(今回の研究成果が)IL-7を用いた免疫治療法の開発に寄与するだろう」と述べています。
今回の研究成果は「Immunity」2017年7月18日号に掲載されました。
(*1)転写因子:DNAに特異的に結合するタンパク質の一群
(*2)シグナル伝達:細胞間の情報伝達機構
(出所:韓国・聯合ニュース、2017年8月23日付け内容)
(参考:wikipedia)
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