プロフィール

水田尊久

Author:水田尊久
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2000年渡韓、2012年末までサムスンに勤務、約四半世紀のエンジニア生活の後、2013年に韓国で法人を設立し独立。技術コンサルティングを中心に、韓国進出支援、市場調査など、韓国を中心に活動しています。

<韓国:先端素材>「超撥水性・超撥油性」表面構造の開発

韓国の研究チームが、水も油も寄せ付けない「超撥水性・超撥油性」表面構造を開発しました。


トビムシの皮膚表面には、数万個の1マイクロメートル(100万分の1メートル)以下のキノコの形をした構造体がびっしりと配列されています。このような構造体は、水と油の両方をはじき、トビムシが土の中で、水や有機物質に濡れずに容易に呼吸できるようにしています。

KAIST(韓国科学技術院)のキム・フィタク教授とキム・シンヒョン教授の研究チームが「アゾ高分子」(*1)化合物を用いて超撥水性・超撥油性(水と油をはじく特性)を持つ大面積の表面構造を開発しました。

キノコ形の表面を持つ二重凹角(おうかく)構造体は、水だけでなく、油のような表面張力が弱い液体にも濡れない性質を持っています。

しかし、既存の二重凹角構造体は硬いシリコンをベースにしており、柔軟な素材には適用しにくく、多くの複雑な工程を経て製造されるためコストが高いという問題がありました。

研究チームは、アゾ高分子の表面で、部分的に光流体化(光を受けると、液体のように流体化する現象)が起こる事に注目しました。

研究チームは、光流体化現象を、アゾ高分子の円柱構造体に応用し、円柱上部表面のみを選択的にキノコ状の二重凹角構造体とする事に成功しました。

この方法で製作した構造体表面は、ヘキサンのような表面張力が低く、すぐに染み込む液体にも優れた超撥水性を有しています。

研究チームは「特に構造体がポリマーで出来ているため、柔軟性に優れ、光を当てるだけで、安価に大面積の製作が可能」と説明しています。

血液チューブなどの医療用の汚染・損傷防止チューブや、汚染・腐食防止表面などに活用することができるものと期待されています。

今回の研究成果は「ACS Nano」2017年8月号に掲載されました。

(*1)アゾ高分子:アゾ基(Azo Group)の両方にベンゼン環を含む物質が鎖(高分子鎖)に接続された形。アゾ化合物とも呼ばれる。
(出所:韓国・聯合ニュース、2017年9月6日付け内容)
(参考:wikipedia)
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