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水田尊久

Author:水田尊久
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2000年渡韓、2012年末までサムスンに勤務、約四半世紀のエンジニア生活の後、2013年に韓国で法人を設立し独立。技術コンサルティングを中心に、韓国進出支援、市場調査など、韓国を中心に活動しています。

<韓国:医療>有害タンパク質の分解を助ける新たな仕組み

韓米の共同研究チームが有害なタンパク質の分解を活性化する新たなしくみを明らかにしました。


韓国生命工学研究院のキム・ポヨン博士の研究チームとソウル大学のクォン・ヨンテ教授の研究チームは、米国ピッツバーグ大学のXiang-Qun Xie教授チームと共に、細胞内のタンパク質のゴミの分解過程を促進する「p62」タンパク質の機能を解明しました。

老化、遺伝的変異、細胞内ストレスなどでタンパク質のゴミが蓄積すると、細胞の損傷が起こり、がん・退行性脳疾患・心臓病の原因となります。

細胞内のタンパク質に寿命が近づくと「ユビキチン(ubiquitin) 」と呼ばれる小さなタンパク質が付着したタンパク質のみを選択的に分解する「ユビキチン‐プロテアソームシステム」(*1)と、「自己捕食(*2)システム」が作動することが知られています。

これらは、生物がストレスの多い状況に置かれたとき、生存するために不可欠なシステムですが、いつ・どのように行われるのか、明らかになっていませんでした。

研究チームは、細胞内のゴミでありながらタンパク質凝集体メッセンジャーとして知られているp62タンパク質が、ストレスを受けると自己捕食を促進する新機能があることを発見しました。

また、タンパク質分解の主要経路であるユビキチン‐プロテアソームシステムと深い相互調整メカニズムがあり、プロテアソーム経路が塞がると、p62タンパク質を介して自己捕食経路が有効になり、タンパク質のゴミの分解が起こることが分かりました。

p62タンパク質を調節すると、細胞内に蓄積するタンパク質凝集体処理を活性化し、がん・老化・代謝疾患の治療に活用できる事が期待されます。

キム・ポヨン教授は「代謝疾患の治療効果を高めるためには、プロテアソームと自己捕食の適切な活性化の調節が重要」とし、「この低分子化合物を用いて、ハンチントン病の原因タンパク質『ハンチンチン』を培養細胞から除去する源泉技術を確保できる」と述べています。

今回の研究成果は「Nature Communications」2017年7月26日オンライン版にケイサされました。
(*1)ユビキチン‐プロテアソームシステム:タンパク質に付加されたユビキチン鎖をプロテアソームが認識し,ATP依存的で迅速かつ不可逆に標的タンパク質を分解するシステム。
(*2)自己捕食:細胞内のタンパク質のゴミを自ら捕食するかのごとく分解してエネルギー源としてリサイクルする過程。
(出所:韓国・聯合ニュース、2017年9月7日付け内容)
(参考:wikipedia、日本医学会ホームページ「医学用語解説」)
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