<韓国:先端素材>ステンレスを用いた人工光合成触媒技術
韓国科学技術研究院(KIST)クリーンエネルギー研究センターのミン・ビョングォン博士とファン・ユンジョン博士の研究チームが、ステンレス鋼を人工光合成水分解触媒として応用する技術を開発しました。
光合成は、植物の葉が太陽の光を吸収して水と二酸化炭素から炭化水素(ブドウ糖)を作す生化学反応です。人工光合成は、植物の葉と同様に太陽の光を利用して、水と二酸化炭素から高付加化合物を生成することができる将来の技術として、関心を集めています。
また、人工光合成を用いると、新薬原料や、水素とメタノールのようなクリーンな燃料も生産できることが分かっています。
人工光合成技術には、大きく分けて2つの触媒技術が必要になります。一つは、水を分解して酸素を作り出す触媒、他の一つは、二酸化炭素を還元して化合物を作る触媒技術です。
このうち、水を分解して酸素を作り出す反応を誘発するための高性能触媒がまだ開発されていない状況です。既存の「水電解」触媒は、強アルカリ性水溶液ではうまく動作しますが、人工光合成が可能な中性水溶液では触媒性能が著しく低下し、価格も高いという問題がありました。
研究チームは、ステンレス鋼には複数の元素が含有されており、この中で水分解触媒として利用が可能な元素も含まれているという点に着目し、触媒となりうる元素を表面に引き出し、高性能水分解触媒を作りました。
研究チームは、米国鉄鋼協会(AISI)304製品(ニッケル10%、クロム20%含有)ステンレス鋼を用い、強アルカリ水溶液(水酸化ナトリウム)中で高い電流を流し、鉄・ニッケル・クロムなど、ステンレス鋼を構成する元素を溶け出させた後、ニッケルを表面に再析出させ、「オキシ水酸化ニッケル(NiOOH)」をステンレス鋼の表面に形成させました。
この物質は、水の分解に非常に高い効果を持つ触媒として作用しますが、人工光合成が可能な中性水溶液環境での水分解効率も良いことが分かりました。
研究チームは「今回のステンレス鋼素材ベースの水分解触媒技術は、低コストの材料と簡単な工程で、大面積化・大量生産に有利」とし、「今後、人工光合成技術の商用化を早めるのに大きな貢献をするものと期待している」と述べています。
(出所:韓国・朝鮮ビズ、2017年9月11日付け内容)
(参考:wikipedia)
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