<韓国:先端素材>ナトリウム二次電池の開発
韓国科学技術研究院(KIST)エネルギー融合研究団のチェ・ウォンチャン責任研究員は、ナトリウムを二次電池材料として用いることが可能となる方法を開発しました。
研究チームは、ナトリウムを保存する物質として、リチウムイオン電池に使う炭素ベースの物質の代わりにアンチモンを選択しました。アンチモンは、炭素ベースの物質に比べ蓄電容量を2倍に高めることができますが、充放電を繰り返すと物理的に体積が膨張するため、電池に用いるには困難が伴いました。
これに対して研究チームは、シリコーンオイルにアンチモンナノ粒子を混ぜ、体積が膨張する問題を解決しました。シリコーンオイルは、粘度が高くアンチモン粒子の膨張を抑制します。このようにして開発された電池は、充放電を250回以上繰り返しても体積膨張せず、実験開始状態に比べ97%の性能を維持しました。
この研究成果は「Advanced Functional Materials」2017年9月13日号に掲載されました。
また、海水自体を二次電池材料として用いる試みもあります。蔚山(ウルサン)科学技術院(UNIST)エネルギー及び化学工学部のキム・ヨンシク教授は、福島原子力発電所の事故当時、緊急発電システムが故障した事をきっかけに海水に浸かっても動作する電池を構想。海水に含まれているナトリウムをそのまま利用できる2次電池を開発し、実用化に乗り出しました。
独自に開発した固体セラミック電解質にナトリウムイオンを閉じ込め、海水にこのセラミック電解質を浸すと、閉じ込められていたナトリウムイオンが出ていく原理を用いています。
キム教授は、「水中探査ロボットや船のよう常に海水と接している環境で有用」と述べています。現在、韓国海洋科学技術院と共に、ブイ(Buoy)用海水電池を開発しています。海に浮かんだまま海流や海水の水温、塩分濃度、海面の高さなどのデータを収集するセンサーの駆動などを目的としています。
(出所:韓国・東亜日報、2017年9月29日付け内容)
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