<韓国:医療>人体内物質を用いたガンの光熱治療システム
KAIST(韓国科学技術院)生命科学のジョン・サンヨン教授の研究チームが、人体内の物質を用いた光学画像診断・光熱治療が可能な抗がんシステムを開発しました。
研究チームは、人体内の強力な抗酸化剤「ビリルビン(赤血球の主要構成物の一つである)」と、ビリルビンによる胆石形成過程で観察される金属との結合機能、さらに新生児の黄疸治療に用いられる青い光に反応する性質を同時に抗がん治療に適用しました。
研究チームは、銅やカルシウムの代わりに、「シスプラチン」というプラチナベースの抗がん剤とビリルビンを結合して、黄色のビリルビンを紫色の複合体に変換させました。
この複合体に近赤外線波長の光を当てたとき、従来に比べ大幅に改善された光感応性を示しており、大腸癌の動物モデルに、この薬剤を静脈注射した際、腫瘍の部分で光音響信号(*1)が増加することが確認されました。
また、腫瘍部位に近赤外線光を当てたとき、光熱効果(光が熱に転換される効果)により5分以内に摂氏25度以上の温度上昇が認められ、2週間後に別のグループと比較し、腫瘍サイズが減少・壊死することが確認されました。
今回の研究成果は「Angewandte Chemie International Edition」2017年9月4日号に掲載されました。
(*1)光音響信号:光エネルギーを吸収した分子が熱を放出し、その熱による体積膨張により発生する音響波。
(出所:韓国・聯合ニュース、2017年9月20日付け内容)
www.takao.asia