<韓国:化学>高分子のリアルタイムモニター技術
基礎科学研究院(IBS)先端延性物質研究団のSteve Granick団長(蔚山<ウルサン>科学技術大学
研究チームによると、生体中の信号物質・DNA・タンパク質などは高分子からできていますが、それら重要な要素がどのように動くのか、相当部分が明らかにされていませんでした。
生体内と同様の液体環境で高分子を観察するためには、電子顕微鏡を用いる必要がありますが、装置内部が高真空状態のため、液体が蒸発してしまう事が原因でした。
この問題を解決するため、研究チームは二枚のグラフェンの間に高分子が入った液体層をサンドイッチのように挟み、グラフェンで包み込む手法「液体グラフェンセル(liquid graphene cell)」を用いました。
この方式を用いると、電子顕微鏡の中でも水分が蒸発する事なく、強力な電子ビームによる試料への損傷も減らす事ができます。
まず、透過電子顕微鏡(TEM)内部で、試料の下に3~5枚重ねのグラフェンシートを一枚敷き、その上に試料となる高分子が入った液体を乗せ、その上を2重のグラフェンで覆います。これによって、グラフェン同士が強く張り付き、液体が内部に閉じ込められます。
内部に閉じ込められた高分子は、グラフェンシートが透明なため、そのまま動きを観察することが可能になります。
研究チームは「高分子は、タンパク質・酵素・DNAだけでなく、プラスチックをはじめとする産業に広く適用されているため、今回の研究は、医療・産業界に貢献するものと期待される」と述べています。
今回の研究成果は「Advanced Materials」2017年9月19日オンライン版に掲載されました。
(出所:韓国・ニューシス、2017年9月20日付け内容)
www.takao.asia