<韓国:生命科学>破損したDNAの修復過程が明らかに
西江(ソガン)大学のキム・ドソク教授の研究チームが破損したDNAが「RecA」タンパク質によって修復される過程を明らかにしました。
「RecA」タンパク質は、損傷したDNA修復の核心となる物質で、DNA鎖の破損部分と同じ塩基配列を見つけ、通常の鎖ペアを対等交換(相同染色体(*1)組換え)する方法で修復します。
そして、「RecA」タンパク質は修復の過程で、破損したDNAを覆うようにフィラメントを形成し、その長さが数マイクロメートルに達するほどにまでなる事もあります。
DNAが損傷した時に細胞内で修復が失敗した場合、本来の機能を維持することができず、老化や病気を引き起こします。「RecA」タンパク質の助けがなければ、毒物や紫外線照射などに対応できなくなります。
今まで、「RecA」タンパク質がどのようにしてフィラメントを形成するのか、また、相同染色体を見つけ修復するのか正確なメカニズムが分かっておらず、細胞内のエネルギー源「アデノシン三リン酸(ATP)」をどのように消費するのかが大きな疑問でした。
研究チームは、単分子分光技術を利用して「RecA」タンパク質が、破損したDNAに結合したときの変化の過程をリアルタイムに観察することに成功しました。
これによって、「RecA」タンパク質が、ATPを通じて得られたエネルギーを利用して、DNA上で動く事が明らかになりました。「RecA」タンパク質の移動はDNA塩基配列に大きな影響を受け、特定の塩基配列に符合すると移動が抑制され、遺伝暗号を正確に読み取れる事が分かりました。
キム教授は「『RecA』タンパク質の形成とDNA修復過程を綿密に究明した」とし、「遺伝子修復を通じた高齢化やガンのような病気の治療に根源的基礎を提供する」と述べています。
今回の研究成果は「Science Advances」に掲載されました。
(*1)相同染色体:同数の、同じ又は対立遺伝子が,同じ順序に配列した染色体。
(出所:韓国・ニュース1、2017年10月10日付け内容)
(参考:「RecAタンパク質によるDNA鎖交換反応の分子メカニズム」,生物物理 56(6),309-314(2016)DOI: 10.2142/biophys.56.309)
(参考:コトバンク)
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