<韓国:医療>血管新生をコントロールする転写因子タンパク質が明らかに
基礎科学研究院の研究チームが血管新生のための様々な細胞の活動をコントロールし、管理する転写因子タンパク質を明らかにしました。血管新生は既存の血管から新たな血管が発生することを指し、転写因子はDNAの遺伝情報を有効にするか抑制するかを調節するタンパク質を指します。
血管新生は傷が治癒するときや女性の排卵期など特殊な状況で起きる非常に複雑で体系的なプロセスが伴います。一方、血管の異常生成はがんやアルツハイマー黄斑変性、炎症性疾患の原因あるいは結果になります。また、血管新生が不足すると虚血性心血管疾患、神経変性疾患の原因にもなります。
多くの研究者がこれまで血管新生をコントロールする要因について研究した結果、特定のタンパク質、遺伝子および細胞骨格、細胞の代謝が関与することが明らかになっていましたが、このすべてのプロセスを組織的にコントロールする転写因子の存在は疑問として残っていまいた。
研究チームは残る疑問の解明に、細胞活動の必須転写因子であるYAP / TAZに注目しました。
YAP / TAZ転写因子は、Hippoシグナル伝達回路の主要なコントローラーとして、上皮細胞(動物の体や内臓器官の表面を覆っている細胞)の分化、分裂、移動を調整して、各臓器の発生とサイズを決定します。
研究チームは、YAP / TAZの転写因子の機能が全血管の成長と形を決定することを予想して実験を計画し、YAP / TAZの転写因子の発現を抑制した生後2〜3日の実験群マウスの脳と網膜の血管発芽が異常に発生し、血管内皮細胞の成長低下と血管壁の一部である血管基底膜の形成が低下している事を確認しました。
この実験を通じてYAP / TAZの転写因子が血管発芽から血管壁を作る細胞の活動を管理し調整することが確認されました。
さらに研究チームは、異常な血管新生にも研究結果が適用できることを確認するための追加の実験を行いました。
高齢者の失明の原因の一つである加齢黄斑変性は、脈絡膜血管の新生が主な原因で発生します。研究チームはYAP / TAZの転写因子の発現を抑制した実験群で、レーザーによって脈絡膜血管新生を誘導したところ、異常な血管新生と血液漏れが減少することを確認しました。これは比較的対照群に比べて血管新生が減少した事を意味します。
研究チームのイム・デシク教授は「YAP / TAZの転写因子の機能(解明)が、主に肝臓、小腸、大腸などの臓器の上皮細胞を中心に進められてきた。今回の研究でYAP / TAZの転写因子が血管の生成および形態を決定する重要な因子であることを証明した」と述べています。
(出所:韓国・ソウル経済、2017年11月10日付け内容)
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