<韓国:医療>免疫力高める静脈注射でガン治療
韓国科学技術研究院(KIST)セラノスティクス研究団のキム・インサン責任研究員の研究チームが、慶北(キョンブク)大学と共同で、体内の免疫細胞の活性を高めるナノ粒子「FHSIRPα-dox」を開発し、これを活用した静脈注射剤のガン治療効果を動物実験で確認した事を明らかにしました。
研究チームが人体に由来する「フェリチン(Ferritin)ナノ小胞体」を利用して作ったナノ粒子はガン細胞を直接攻撃するのではなく、体内の自然免疫反応を、初期段階からガン細胞にのみ特異的に増幅させ、抗ガン効果を発揮します。これは、ナノ小胞体の表面にガン細胞の防御メカニズム剤を遮断するタンパク質(SIRPα)を発現させた事によります。
研究チームがガン細胞があるマウスに静脈注射で開発したナノ粒子を投与した結果、ガン細胞の成長が抑制される事が確認されました。注射をしていないマウスは18日後にガン組織の体積が10倍になったのに対し、同期間、注射をしたマウスではガン細胞が継続的に減少し、完全に消えました。また、初めにガン組織を手術で除去した後に注射をしたマウスの場合にも、ガンの再発はありませんでした。
キム研究員は「ガン細胞への免疫システムを根本的に強化するため、既存の抗がん治療の副作用と限界を克服することができるものと期待している」と述べています。
今回の研究成果は「Advanced Materials」2018年1月16日号に掲載されました。
(出所:韓国・東亜サイエンス、2018年1月29日付け内容)
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