<韓国:医療>光を用いた抗がん剤運搬技術の開発
基礎科学研究院(IBS)複雑系自己組織研究団のパク・ギョンミン研究委員の研究チームが、ナノ分子「ククルビツリル(Cucurbituril)」を応用して、内部に抗がん剤を入れることができる新たな構造のナノ誘導体を開発し、外部から光を加え、この誘導体の動作を人為的に調節することに成功しました。
ククルビツリルは体液中に入ると、複数個が相互に集まり自ら小さな袋状をなすナノ物質で、このようして作られた袋の内部に抗がん剤を入れることができます。この袋に一度入った薬は、特殊な「鍵」を利用しない限り開かないため、薬を外部に流出することなく安全に目的地まで運ぶ事ができます。
研究チームは、このプロセスを制御する鍵を二重にして、安全性をさらに高めました。まず、血液内のように目的地ではないところで薬を放出する可能性を遮断するため、細胞内にのみ存在する特定の物質と出会った場合にのみ袋の鍵が開くようにしました。さらに、光を2つめの鍵として、外部からの光の照射によって袋が開くようにしました。これによって人が直接薬の放出を外部から調整する事が可能となりました。
研究チームは、実際に抗ガン剤を入れたククルビツリルをガン細胞に注入した後、外部からガン細胞に向かって遠赤外線レーザーを照射し、ガン細胞が意図したように死滅する事を実験的に確認しました。また、レーザーの強度と時間を調節して、抗ガン剤の放出時間を制御できる事も確認されています。
今回の研究成果は「Angewandte Chemie International Edition」2018年1月29日号に掲載されました。
(出所:韓国・東亜サイエンス、2018年3月5日付け内容)
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