<韓国:医療>自己免疫疾患治療剤の自己免疫反応抑制原理が明らかに
建国大化学科のホ・ヨンソク教授の研究チームが、代表的な自己免疫疾患「全身性エリテマトーデス」の専門治療剤「ベンリスタ」と体内のタンパク質が結合した複合体の分子構造を解明し、ベンリスタが自己免疫反応を抑制する原理を明らかにしました。
全身性エリテマトーデスは、ウイルス・細菌から人体を守る免疫系が、自身を攻撃する代表的な自己免疫疾患で、皮膚・関節・血液・腎臓など、様々な人体器官に炎症を起こします。
ベンリスタは2011年に米国食品医薬品局(FDA)が承認した最初で唯一の全身性エリテマトーデスの専門治療剤です。ベンリスタは、BAFFタンパク質に結合して自己の身体を攻撃する「自己抗体」の生成を抑制することが知られていましたが、正確な動作原理は明らかにされていませんでした。
研究チームは、X線結晶学的方法を用い、ベンリスタがBAFFタンパク質に結合したときの3次元構造を分析することにより、BAFFタンパク質受容体結合部位に予め結合し、自己免疫反応を引き起こす信号を遮断することを明らかにしました。また、ベンリスタはBAFFタンパク質の構造自体を変形させ、自己免疫反応を誘発する強い信号が生成されることを妨害することが確認されています。
ホ教授は「今回の研究結果は、より効果的な全身性エリテマトーデス治療剤や、従来の抗体医薬品の欠点を克服した低分子BAFF抑制剤の開発のための重要な情報を提供する」とし、「様々な自己免疫疾患治療剤が開発されることを期待する」と述べています。
今回の研究成果は「Nature Communications」2018年3月23日号に掲載されました。
(出所:韓国・朝鮮ビズ、2018年3月27日付け内容)
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