<韓国:生命科学>クジラが海に適応するための遺伝子を発見
韓国海洋科学技術院(KIOST)は、クジラが海に適応するために寄与した遺伝子を発見した事を明らかにしました。
KIOSTは「クジラは陸に住んでいた有蹄類が数千万年前に海に生息地を移し進化し、この過程で様々な形態的・生理的変化を経た」とし、「急激な骨密度の変化が、その中の一つ」と述べています。
浅い水辺で生活していた数千万年前のクジラは、高い骨密度を持っており、骨が体を支える役割をしていましたが、完全に水中生活に適応した現在のクジラは、非常に低い骨密度となり、それによって浮力を得たとされていました。
しかし、骨密度を調節する原因遺伝子は明らかになっていませんでした。
KIOSTのイ・ジョンヒョン博士の研究チームが、繊維芽細胞増殖因子(FGF1~23)の分析を行ったところ、クジラが潜水後、低酸素状態になると、肝臓で、FGF23が高濃度で発現し、骨密度を減少させることが明らかになりました。
繊維芽細胞増殖因子(FGF1~23)は、血管形成、創傷治癒、胚発生、細胞分化、信号伝達、代謝調節機能など、様々な生理調節作用に関与する成長因子で、病気の治療薬としての開発も行われています。
KIOSTは「今回の結果は、哺乳類では、低酸素症によってFGF23遺伝子の発現が調節されるという事を証明したもので、低酸素症と関連した人間の病気の原因を明らかにし、治療薬の開発に役立つ」と述べています。
今回の研究成果は、「Scientific Reports」の17年1月号に掲載されました。
(出所:韓国・京郷新聞、2017年2月22日付け内容)
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