<韓国:医療>幹細胞による自己免疫疾患治療機構の解明
仁荷(イナ)大学医学部生命融合学科のソン・スンウク教授の研究チームが、中間葉幹細胞(以下、幹細胞)が自己免疫疾患を治療する具体的な作用機構について明らかにしました。
自己免疫疾患に関しては、幹細胞が自己免疫疾患を抑制する免疫細胞「制御性T細胞」に関与するということは今までに知られていました。具体的には、免疫細胞の中の糖タンパク質「CD4」が細胞表面に発現している「T細胞」(CD4 T細胞)が体内組織を異常に攻撃し、「制御性T細胞」が、この「CD4 T細胞」を抑制するため、自己免疫疾患の治療効果があるとする内容程度でした。
今回、研究チームは、自己免疫疾患が起こると、炎症反応が現れ、「幹細胞」の表面に「ICOSL」リガンドの発現量が増加するとともに、「制御性T細胞」の表面では、ICOSLを受け入れる受容体「ICOS」の発現量が増加することを確認しました。
「ICOSL」が「ICOS」に結びつくため、結果的に「幹細胞」と「制御性T細胞」の組み合わせの数が増え、結合力が増加します。
特に2つの細胞(幹細胞と制御性T細胞)が結合すると、「制御性T細胞」の分化能力が増加して、免疫調節物質である「インターロイキン‐10」(IL‐10)が、「制御性T細胞」から多く出てきます。そして、この「IL‐10」が、私たちの体を攻撃する「CD4 T細胞」の働きを抑制して治療効果を発揮します。
「CD4 T細胞」の抑制が効果を発揮する病は、自己免疫疾患のリウマチ関節炎、1型糖尿病、アトピー、移植片対宿主病、クローン病、急性膵炎などになります。
今回の研究成果は、「SCIENTIFIC REPORTS」17年3月14日号に掲載されました。
成体幹細胞:生物の体内に見られる最終分化していない細胞。
リガンド:特定の受容体に特異的に結合する物質。
(出所:韓国・ニュース1、2017年3月23日付け内容)
(参考:wikipedia)
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