<韓国:医療>老化した甲状腺がんの細胞が、がんの転移を誘発
亜洲(アジュ)大学医学部のパク・テジュン、ギムジャンヒ教授の研究チームは、甲状腺乳頭がんの老化腫瘍細胞が、甲状腺がん細胞の移動を促進し、周囲の臓器の組織を攻撃して、がん細胞を転移させる事を明らかにしました。
老化腫瘍細胞は、腫瘍細胞の中で増殖をしていない細胞を指します。
老化は、腫瘍細胞が悪性腫瘍として広がるのを防ぎます。また、がんが進行した組織では、老化腫瘍細胞が非常に少ないことが知られています。
しかし、研究チームは、浸潤性甲状腺癌で老化を示す腫瘍細胞を多数発見しました。特に腫瘍の浸潤部位に高い頻度で存在したと研究チームは説明しています。
手術で切除された甲状腺がん組織で、老化腫瘍細胞が、最初にがんを発症した部位だけでなく、リンパ管・リンパ節転移部位にも多量に存在することが分かりました。
老化腫瘍細胞が、様々な老化関連分泌表現型(SASP)(*1)を分泌していることが、患者の癌組織で確認されました。
また、実験用マウスを用いて、老化腫瘍細胞が甲状腺がん細胞の移動を促進し、癌細胞の浸潤を誘導することが明らかになりました。
今回の研究成果は、「Nature Communications」に掲載されました。
(*1)老化関連分泌表現型(SASP):炎症性サイトカイン、増殖因子、マトリックスメタロプロテアーゼなど種々の生理活性因子を分泌する現象です。
(出所:韓国・聯合ニュース、2017年5月24日付け内容)
(参考:基礎老化研究 35(3);29-31,2011)
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