<韓国:医療>「ハンチントン病」治療の糸口が明らかに
韓国科学技術研究院(KIST)と米国ボストン大学医学部の研究チームは、動物実験でハンチントン病治療薬のターゲットを発見した事を明らかにしました。
ハンチントン病は、遺伝子の突然変異が原因で、自律神経系に異常が生じて、運動障害・認知能力の喪失・自殺衝動のような症状が現れる疾患で、現在までに症状を好転させる薬や治療法は見つかっていません。
研究チームは、過去の研究で、ハンチントン病患者の脳に、遺伝子発現に影響を与える「ヒストン(*1)のメチル化酵素」の量が、特に多いことを明らかにしています。
今回の研究では、ショウジョウバエとマウスを用いて、この酵素の影響を確認しました。
酵素の量を増加させたショウジョウバエとマウスは、共にハンチントン病にかかったかのように、神経細胞のサイズが小さくなり運動障害が現れました。
続いて、このマウスに、この酵素の機能を抑制する抗がん剤「ノガラマイシン(nogalamycin)」を投与すると、神経細胞の大きさが通常の大きさになり、運動能力が向上することを確認しました。
これは酵素が治療のターゲットになることを示唆しています。
研究チームは、今回の研究に使用した抗がん剤の場合、高濃度で使うと、細胞毒性(*2)を示すので、今後、副作用が少ない類似薬を開発する必要があると述べています。
今回の研究成果は、「Acta Neuropathologica」2017年6月7日号に掲載されました。
(*1)ヒストン:生物のクロマチン(DNAとタンパク質の複合体)を構成する主要なタンパク質。
(*2)細胞毒性:細胞に対して死、もしくは機能障害や増殖阻害の影響を与えること。
(出所:韓国・聯合ニュース、2017年6月19日付け内容)
(参考:wikipedia)
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