<韓国:医療>退行性神経疾患で現れるタンパク質の塊形成過程の究明
高麗(コリョ)大学のキム・ユンギ教授の研究チームが、細胞内で通常のタンパク質とともに作られた異常タンパク質がCTIF(タンパク質の翻訳開始因子の一種;タンパク質がつくられる段階を翻訳と言います)蛋白質によって調節される事と、このタンパク質が凝集体(変性脳疾患の患者の脳で観察される誤ったタンパク質が蓄積している部分)を形成する過程を明らかにしました。
研究チームは、CTIFタンパク質が、変性脳疾患の患者の脳で多く発見される凝集体や、異常タンパク質が集まる場所に存在することを確認しました。
また、CTIFがない場合、異常タンパク質の蓄積がない事を確認しました。
これはCTIFタンパク質が異常タンパク質を調節する重要なタンパク質であることを示しています。
異常タンパク質の処理経路は、免疫沈降反応でCTIFタンパク質が、dynactin-1 タンパク質、eEF1A1タンパク質と相互作用して一つの複合体を形成し、この複合体が、異常タンパク質を認識して、アグリソーム(aggresome;不要なタンパク質の細胞内凝集体)として、異常タンパク質を輸送しました。
免疫沈降反応とは、標的抗原に特異的な抗体を結合させて生じた複合体を沈殿させた後、回収することにより、標的抗原および標的抗原と結合するタンパク質を検出する方法です。
研究チームが、パーキンソン病患者の脳組織を確認した結果、CTIFが脳細胞の凝集体に蓄積していることが分かりました。
また、CTIFはパーキンソン病で観察される特定の物質(α‐シヌクレイン)と同じ場所にありました。
これはCTIFタンパク質が、異常タンパク質を、dynactin-1 タンパク質とeEF1A1タンパク質を介して選択的に認識し、異常タンパク質の凝集体(アグリソーム)として輸送する役割を担うということを示します。
今回の研究成果は「Nature communications」2017年6月8日号に掲載されました。
(出所:韓国・ニュース1、2017年8月1日付け内容)
(参考:wikipedia、welbo辞書)
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